卒業
行為が終わっても
ふみちゃんを暫く抱き締めていた。
「ふみ」
彼女の耳元で名前を呼ぶとくすぐったそうにしている。
『はい』
返事が帰ってくる。
でも、もう行かないといけない。
『井原さん、私もう行きますね』
「あ、うん。そうだね
送っていくよ」
ほんとは、もっとくっついていたんだけど。
『ありがとう。でも、大丈夫だから
寝てて?』
もう歳なんだろうか。久々だからか。
幸せなのは、間違いないんだが。
だるくて、眠い
僕とは反対にささっと身支度を済ませ、帰る彼女の背中を見送る。
薄明かりの中で見た彼女の肢体は
きれいだったなぁ。
繋がったあとだからか、さっきまでとは違う感情だった。
そして、ふみちゃんが家に着いた頃LINEがきた。
『ひろくんの彼女にしてください』
やっと僕は、井原くんから卒業した