お茶
少し、遡る。
僕がふみちゃんと二人でお茶をしたのは
下の子が確か年長さんと言ってたと思う。
初めてあってから7年くらいたっていることになるのか
最後に会ってから5年ほどたっていた。
その頃、転職して東京にいた僕は、度々地元に出張で来ていた。でも、ふみちゃんのことは正直薄れていっていた。
ある出張の日、何となくメールしてみる。
「今日の夕方、時間あるんだけどお茶でもしない?」
すぐに返事が来た。
『是非行きたいです‼どこにいけばいいですか?』
僕の心臓がどくんっと脈打った。
今日はタイミングが良かったのか。
「⚪⚪のスタバでいい?」
『わかりました。場所わからなかったらメールしますね。』
約束の時間近く、パソコンで仕事しつつスタンバイ。
久々の再会に胸がおどる。
あ、今コーヒー買ってる、あれ?
僕は見つめてるけど、キョロキョロしながら僕の前を通りすぎる。
人違いかな…?
いや、あってる。
安定の、天然。
「ふみちゃん!」
今まで、心のなかでよんでいた名前が口をついてでた。
ふみちゃんは、びっくりした様子で振り返り、手を小さく振って引返してきた。
『立ってたら、絶対見逃さないのに』
ふみちゃんだから許せるセリフ(笑)
『髭と長髪。ますます怖いですよ(笑)』
「ひさびさの再会でそれ?酷いな」
『ごめんなさい。あと、すみません、こんな格好で』
ワンピース(チュニックというんだったらしい。後日知った)の裾を持ち上げうつむいて謝る。
「凄く、かわいいけど」
『もう30過ぎですよ。かわいくは無いでしょ?』
ふみちゃんは今もだけど、自分を卑下する癖がある。
遠慮して生きてきたんだろう事が伺える。
5年前に時間が戻される。
少し、スリムになった彼女の変わらない笑顔がそこにあった。
5年の時間を埋めるように、はなしが弾む。
やっぱり聞き役の彼女をだけど、仕事を始めたと嬉しそうに話してくれた。
このとき、まだ僕はふみちゃんがどれだけ大変な状況か知らなかった。きれいになった彼女が眩しくて、よからぬ妄想をしてしまった。このまま別の場所に行きたい。
僕の妄想は妄想で終わり、気づけば2時間近くスタバにいた。
またねとてを振って別れる。タクシーを探しつつふみちゃんが歩いていくのを見送る。
地下鉄の入り口に入るまで何度も後ろを振り返る。一度、僕を見失ったのかキョロキョロしてる。
地かに降りる前に全身で振り返り僕を探す。
見つけた!顔の横で手を振る。
それからふみちゃんと僕が再会したのは、8年後だった。