名残おしい
終電に間に合うように
バーを出る
いつまでも山崎くんが見送ってくれるから
ふみちゃんの肩も抱けず
早足になる。
他愛ない話をしながら駅に向かう。
まだまだ活気のある時間だ。
駅の入り口まで案内する。
『また、逢えます?』
飲んでるからか、僕を見上げるふみちゃんの目は潤んで見える。
「もちろんだよ」
思わず口づけてしまった。
こんな公衆の面前で。
ふみちゃん、ごめん
つい…ていいかけたけど
いつものくしゃくしゃの笑顔に
『ありがとう』
の言葉。
良かった。
思いが、込み上げてしまったのだった。